病気や認知症でも自宅で暮らすという選択
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高齢になって重い病気になったり、認知症になると、
「病院で治療をするのが一番」
こう考えるかと思います。
しかし、高齢者は入院をきっかけに筋力低下、食欲不振になり、寝たきりになってしまったり、認知症が進んでしまうことが多いです。
ですので、最近は入院を短く史絵在宅医療を利用した方がよいという考えに変わりつつあるようです。
在宅医療を受けるにはどうすればいいか?
在宅医療は近所のかかりつけ医が24時間で対応してくれるのならそれが一番です。
かかりつけ医なら、長年の信頼関係もあるし患者さんのことを一番よく知っているからです。
でも、それが不可能な場合、「在宅療養支援診療所(在支診)」という医療機関を利用できます。
在支診は医師により定期的な訪問治療が受けられ、万一、体調が急変したとしても24時間365日電話で相談ができ自宅にも来てくれます。
在宅療養支援診療所の利用にかかる費用は?
在宅療養支援診療所を利用するにあたり気になるのは費用かと思います。
あまりにも高額だと受けるのは大変ですからね。
全国在宅療養支援診療所連絡会によると、自己負担1割の場合、利用料は月に1万円程度(薬代は別途)で済むことがほとんどだということです。
これぐらいの負担なら、それほど重くはないですね。
ただ、24時間対応の訪問診療は1人で開業する医師には負担が重いので在支診の数はそれほど多くありません。
でも、往診に対応する診療所はあるので市区町村の在宅医療相談窓口、担当のケアマネージャー、入院先の退院相談窓口などで聞いてみると教えてもらえます。
在宅療養の医師が信頼できない、不満に思ったらどうする?
近所だから便利というだけで、在宅療養支援の医師を選ぶこともあるかと思います。
しかし、実際に利用してみて医師に対して不満を感じたり、医師が信頼できないと感じることもあり得ます。
このような場合、別の医師を探すのも1つの方法です。
不満や不信を感じながら、利用をするのは精神的にもよくないし、何より患者にとってもよくないですから。
心臓が悪い患者さんの在宅療養の例
東京都内で住むAさん77歳、夫と二人暮らし。
月に2回、訪問診療を受けている。
Aさんは約20年前に心臓の大動脈弁狭窄症と診断されました。その後、弁置換術、ペースメーカーの埋め込み手術を受けましたが心臓が次第に悪くなって、2~3年前からは1ヶ月程度の入院を繰り返していました。
しかし、半年間の長期入院で心筋を焼くカテーテル手術を受けた後、体力が回復しませんでした。
すると、ベッドに寝たきりになる時間が長時間になってきました。
病院は「トイレに行きたい」と頼んでも「オムツに出して」と言われ、オムツが汚れて交換まで2時間待つこともあったそうです。
さらに身体を動かさないために食欲が減り、「後で食べよう」と思っても決まった時間に食事を下げられるため食べれませんでした。そして寝返りもうてなくなり床ずれで身体が痛むようになりました。
さらに、自力で食べれなくなり栄養を点滴でとるようになりました。体重は10kg以上減り、34kgに。
また、ありもしない話しを口にするせん妄の意識障害が出始めました。
Aさんは「家に帰りたい」と懇願し、Aさんの長女は迷いながらも在宅医療を選択しました。
病院では「在宅医療や介護は本人も家族も大変ですよ」と言った上で、在宅医療支援診療所を紹介してくれました。
自宅に帰ったAさんは数週間後に2日連続でシーツを汚しましたが夫が1時間かけて寝具や衣類を取り換えてくれました。
Aさんは「こんなことをさせてはいけない。自分でトイレに行く」とリハビリに励みました。
その後、Aさんは「テーブルで家族と一緒にご飯を食べたい」と自力でベッドから車椅子に移れるようになりました。
Aさんは現在、訪問診療の他、週3回の訪問介護を組み合わ利用しています。
また、毎週、理学療法士から歩く練習などリハビリ指導も受けています。さらにトイレなどを手伝ってくれるヘルパーも1日に2~3回訪れてます。
支える関係者は非公開のSNSを利用して体調、リハビリの状況などを情報共有してAさんと家族を支えています。
まとめ
国は医療費の削減や空きベッドの確保を促進させるために、在宅医療に力を注ごうとしています。
そのためにも、在宅医療支援サービスの知識や情報の周知の促進、在宅医療支援サービスの充実が必用です。
Aさんの例をみると、とてもうまく在宅医療支援が機能しています。
必ずしもこのようにうまくいくかわかりませんが、在宅医療の方が、病院治療よりも、人間らしく生きれるし患者さん本人も幸せなのではないでしょうか。
いずれ誰もが老いて死んでいきます。
自分がその時に、どのように医療を受けたいか、最期を迎えたいか、これは一人一人が自分事として考えていく必用があるかと思います。
参考:読売新聞
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