有酸素運動で、動脈を健康にする
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アメリカのウィリアム・オスラー博士の有名な言葉があります。
それは、
「人は血管とともに老いる」
ということです。
老いたらもう血管は若返れないってことでもあります。
しかし、ここ最近の研究では、
「血管は老いても若返る」
というように変わってきてます。
運動で血管がやわらかくなる
筑波大学の調査では、陸上部の中長距離走選手と運動習慣がない一般学生の動脈の硬さを比較。
すると、陸上選手の方がやわらかいという結果になりました。
また、一般学生に運動をしてもらい血管の硬さの変化を調べると運動開始前より動脈がやわらかくなりました。
学生だから、つまり若いからこその結果なのでは?と思うかも知れませんが中高年での実験でも同様に運動で動脈がやわらかくなったんです。
これらの結果から、
「血管は運動で若返ることができる」
と筑波大学の教授は語っています。
これ以外の国内外での研究においても運動をすると血管によい影響を与えることがわかってきています。
なぜ、運動すると血管(動脈)が柔らかくなるのか?
運動はなぜ血管をやわらかくするのでしょう。
そのメカニズムですが、
「運動をして結構がよくなると血管の内側をおおう内皮細胞が血流でこすられる。この刺激で血管をやわらかくする一酸化炭素などの物質が放出される」
と考えられています。
一酸化炭素は、窒素と酸素の化合物で、ものが燃える時に発生します。
一般的にはスモッグ、酸性雨などの原因物質として知られていますが、体内では血管を広げる働きをするため、血行改善効果があります。将来、血圧を下げるなど、高血圧などの治療に応用されることが期待されている化合物です。
ライフスタイル外来
兵庫県豊岡市にある公立豊岡病院日高医療センターでは、2002年に「ライフスタイル外来」を開設しました。
ここでは、生活習慣の改善を目指して運動療法に力を注いでいます。
特に重視しているのは、血管機能の改善です。
患者はFMD値と呼ばれる検査を受けます。
検査は腕にベルトを巻いて締め付け、緩めた時の血管の拡張率から一酸化炭素の放出量を調べます。
拡張率が6%以上は、正常。3%未満になると内皮細胞に問題が生じていると判断されます。
脂質異常症で通院するある患者さんは当初、FMD値が2.1%でしたが、運動療法により1年で7.5%まで上がりました。
また、狭心症のある患者も運動を2年間続けることで、FMD値が1.3%から5.3%まで改善しました。
運動することが内皮細胞の刺激を促し、一酸化炭素の放出量が増えたのです。
そして、結果的に血管が柔らかくなるために血管性の病気の改善や予防につながることになります。
理学療法士は、
「薬による治療よりも運動は自ら改善したという達成感が得られる」
と話しています。
ただ、このライフスタイル外来を訪れる患者は女性が7割だそうです。
むしろ生活習慣予防が必用なのは男性なので、男性こそ運動習慣を身に付けることが必用なようです。
まとめ
運動をすれば血管が若返る。
これはまさに朗報です。
なんとなく経験的にこう感じている人は多いと思いますが、運動による血管の若返りメカニズムも解明されつつあり、数値的に測定可能な指標もあるので実感しやすくなっています。
現在、FMD値が測れる医療機関は全国にあります。
ただし、数はまだまだ少ないようです。
ただ、定期的に測ることができれば運動による動脈の硬さの変化を自分で実感できるので、機会があれば試してみるといいかと思います。
ちなみに、私の地元にはFMD値が測れる病院はありませんでした。近いところで車で1時間ぐらいでしょうか。
ただ、運動をすることが血管を柔らかくすることは確かなので、運動をすることは今すぐに始めることがおすすめです(*^o^*)。
参考:読売新聞
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